八ヶ岳エコツーリズム協会・八ヶ岳に暮らしたい

八ヶ岳南麓エコツーリズム推進協議会公式サイト


head010.png

八ヶ岳に暮らしたい

〜あなたの家は八ヶ岳の景観にあっていますか?

八ヶ岳のような自然豊かな地に合う家とはどんな家だろう、周囲の人と共に、心地よく暮らすにはどんな家作りがいいのだろうと、家造りには悩みは尽きません。経験豊かな建築家のアドバイスが一杯です。是非、お役立てください。
また、田舎での家の佇まいは、そこの景観を左右するほど大事です。これからの家を作りには、景観的な配慮も必要です。

1 はじめに

はじめに

−八ケ岳南麓の美しい自然景観の一部となる住まい作りを−

001.png八ヶ岳南麓で、心豊かな生活が始まります。
季節の変わり目は生命を実感し、自然の美しさに目を見張ります。
自然豊かな環境に、住まいを持とうとするなら、自らがこの自然の一部になろうとする意識を持って住まいを考えていかれることを望みます。

広大な南斜面である八ヶ岳南麓は1日の日照時間が長く、また風光明媚です。北からの冬風の通り道からもはずれ冬も過ごしやすく、夏は乾燥して涼しいのです。
快適であったのは、何も現代人だけではなかったようです。縄文人の遺跡も数多く見つかる事からも、昔からここは住みやすい所だったのでしょう。

さて、土地を求め、家を建てるとき、自分の土地だから、自分の好きな家を建ててよい、という事ではありません。建築基準法のことではありません。

002.pngその土地に立って、周囲の景色を見てみましょう、耳を澄ましてみましょう。自ずとその場にふさわしい住まいの姿(佇まい)や、暮らしが見えてきます。
一つ一つの家は、地域全体の中で連続したものとして目に入ってきます。つまり、家の佇まいも、自然景観の流れの一部であるべきです。

美しい景観は、住む人の意識の結果として作られていきます。
私たちは、地域全体の美しい景観を作る一員です。   
八ケ岳南麓の美しい自然景観の一部となる住まい作りをお願いします。

2 土地に出会う

土地に出会う

−「気持ちよい」と感じて暮らせる土地を。 それには、広さ(面積)も大切−

003.png人が「気持ちよい」と思う感覚は、理に適っていることが多いものです。
土地探しでは、「気持ちよい」という直感を大切にしましょう。
更に、その近隣で長く暮らしている方々から話を聞いてみましょう。良いことばかりでなく、むしろ困った事や苦労している事が重要です。 また、その土地が今までどのように使われていたのか、どんな形をしていたかなど、土地の履歴を知る事も重要です。

土地を探す上で大変重要なことは、土地の広さです。
八ケ岳南麓の美しい自然景観の一部となって、「気持ちよく」暮すためには、最低でも200坪(北杜市の条例では最低150坪(500㎡以上)以上ですが、不充分です)、できれば、300坪以上の面積が必要です。

何故なら、周囲の自然に調和するように、敷地内の自生樹木を残して家を建てたり、建築後に植栽したり(4章:庭の設計参照)するには、それだけの広さがどうしても必要だからです。田舎暮らしでは、駐車場だけでなく、物置も必ず必要になります。 樹木も大きくなります。 周囲の家を見て、心地よく見える家の土地面積を確かめてください。

●土地は、特徴、性格を知って、納得してからの購入をお勧めします

A.エリア全体の中で谷地状になった土地
雨水、地下水が集まりやすくなっているので、湿気があり、また石が多いことがあります。 窪地でなくても表面に近い所に水道(ミズミチ)があることもあります。ヤナギなど湿気を好む木が多いかどうかなど、そこに生えている木で、その土地の特徴がわかります。

B.接している道路の位置
大雨ともなれば道路は川と化します。道路の傾斜と位置により、水が敷地内に流入することがあります。 低い石垣などで、うまく水を逃がす様な工夫が必要です。 自然の石垣なら植栽して楽しめます。

C.道路の突き当たりや、湾曲道路の外側にある土地
  夜間クルマのヘッドランプが直進入します。また、常に不安です。

D.自生樹木が一本もなく平らで、ペンペン草のような雑草が覆っている土地
十中八九、盛土や切土など加工された土地で、危険が覆い隠されているかも。 そこの土でない客土の場合は、その土地の自然が回復するのに時間がかかります(野草は客土を嫌います)。

004.pngE.人の背丈を越えるようながけや石垣に面している土地、
  危険です。建築基準法的にも建築の制限を受けます。
また、地形を変えて造成することは、連続している美しい景観を分断することになるので、避けてください。連続した地形は広く見え、八ヶ岳独特のなだらかな傾斜は、暮らしの中で、楽しめる部分です。 平らに土地をすると、却って狭くみえます。

F.傾斜角度30度を越える急傾斜地、 眺望の良い土地
  急傾斜地は危険です。いくら景色が良くてもやめましょう。 周囲から独立し眺望が良い所は、えてして風の影響が強く、常に風を意識しながらの生活になります。風による体感温度もかなり違います。昔からの集落を見ると、冬の風の北西側に小高い山があったり、森林帯があります。

G.周辺に家がなくて広く見える土地(広さは大事)
都会の価値観、感覚で広い!と思うのは危ない。都市なら100坪あれば結構広いですが、この都市の価値観だけで判断してはいけません。 ここでは、最低でも200坪、できれば300坪の土地が必要です。周りの自然が大きいので、2−3年すると広さに目が慣れてきて、しまった!と後悔しても・・・。

150坪では、家と、駐車場や物置のために、敷地内にある自生樹木を全部切り倒すことになります。結果として、都会と同じ程度の狭い庭しか残りません。これでは、大きくなる樹木は植えられず、乏しい緑で、“裸同然”の家の姿を晒すことになり、周囲の目も気になります。 周囲の自然景観との調和もできません。(4:庭の設計参照)

敷地面積は土地探しで、最も重要な要素と言っても過言ではありません。
いろいろな土地に出合い、迷うかもしれません。まったく非の打ち所のない土地というものは恐らくありません。 だから「気持ちよい」という直感が大切です。

3 家の設計

家の設計

−自然と共に暮らす、そのことを大切にした外観と設備を−

八ヶ岳南麓の生活では、都市の価値観はあてはまりません。
都市と違い、この地では、家は「自然景観」を形成する重要な要素です。あの家ができたので、折角の良い景色が台無しになったという話しをよく耳にします。

自然と連続する中で、違和感なく、まるで昔からそこにあったというような佇まいは、みんなから愛されます。そのためには、無用に大きく、高くせず、自然景観に調和する素材や、色使いを心がけるべき。 特に、外壁の素材や色は、周囲の自然と調和させることが大切です。

005.png春夏秋冬、一定した室内気候を目指したセントラルヒーティング。夜でも昼と同じ均一の照明の24時間都市。こうした近代文明がもたらしたものは人間の弱体化と環境破壊でした。

夏は気持ちよく風を通し、汗もいっぱいかく。
冬は足元を暖房する事で頭は寒い方がよい。
夜の闇を損なわない外灯、室内はほのかな、あたたかいあかり。
このような、自然と共に暮らすことを大切にした、設備設計を考えましょう。



●外観や間取り、設備の設計
  5年後の事は誰にも判らないと言われています。それでも、自然と共にある暮らしを想い描き、家族の要望や希望を、矛盾を気にせずリストアップしてみます。できれば、都会の居間ではなく、現地で考えてみましょう。

A:外観の設計 (形、高さ、屋根、外壁、色)
  都市とちがって、広々としたこの地では、家は、森や山並みの自然景観と連続する中で、みんなの目に入ってきます。家の外観は、自分だけのものではなく、みんなが目にする景観の一部という意識で、外観を設計してください。
  周囲の樹木を超えるような家の高さは景観の連続性を損なうので避けてください。屋根の向きは周囲に(両隣に)合わせると統一感がでてきれいです(3軒並べは、絵になります)。

006.pngB:外観の色使いと素材
  外観の色は、景観を左右します。その土地の石や大地や樹木の幹などの動くことのない色(茶系)は穏やかで、落ち着きがあり、自然景観に調和します(石や土の色彩は、鮮やかさ(=彩度)や明るさ(=明度)の低い、茶系の色が主体です)。 

特に、みんなが目にする外壁に、鮮やかさや明るさを押さえた茶系の色を使うと、自然に調和した佇まいになります。屋根の色は、黒か濃い茶が自然に合うように思います。 

外壁に木や石や土といった自然素材を使うと、時の経過と共に、味わいが深まっていきます。 自然素材を使って、自然と調和する外観の佇まいは、年を重ねるにつれ、愛着が深まり、住み手にとっても、自然の一部として暮らすことの喜びが一層深まることでしょう。

C:玄関の位置、外灯、アプローチ
間取り設計の第一歩は、まず家の入口(玄関)の位置を決める事です。
冬の風を避ける事や、道路やカーポートとの関係など、考慮する事は多くあります。 八ヶ岳では冬の寒さ防止のため、北側の玄関は避けたいものです。

玄関に取り付ける玄関灯の光りがお隣の家に届き、迷惑をかけていることがよくあります。 外灯の光源は隠れるようにして、上空やお隣の家に光りがいかないようにします。暗闇の中の光りは都会では考えられないほど遠くまで届きます。
家へのアプローチも、家を楽しむ重要なポイントです。階段にすると意外に不便なことがあります。できるだけ自然の傾斜を利用しましょう。

D:間取りの設計にあたって
  都会暮らしのイメージで広さを想定しない事です。
  周りを囲われた都市環境と違い、サンデッキや濡れ縁、庭、森、山並みと、室内空間は境界なく外部空間と連続していきます。
従って、面積は小さくても外につながって「広さ」を感じるので、大きな面積は不必要です。 
小さくて豊かな家をつくりましょう。 冬の暖房も簡単です。

E:エネルギー消費を減らす
熱しやすく冷めやすい日本人の気質に似て、旧来の日本家屋は、暖房を落としたとたん寒くなりました。また、冬に晴天に恵まれる事が多く、昼間暖かく過ごせても、日が暮れたとたんに底冷えするそんな家がほとんどでした。

4 庭の設計

庭の設計

−あなたの庭は、八ケ岳南麓の自然と連続しています—  自生する樹木や草花をできるだけ残します、植えます

007.pngどんなに検討して土地を決めたとしても、弱点のない土地というものはありません。そうした事も庭の作り方や施工でカバーすることができます。例えば、どうしても北向きに玄関を設けなければならなくても、冬も葉の落ちない針葉樹を配する事で緩和できます。
道路よりも土地が低くても、土側溝を施したり、建物形状を工夫して流入した雨水を受け流したりと、いくつも方法はあります。
その土地の風や水の流れを把握して、庭の設計を始めます。

樹木の恩恵は、想像以上に大きいものがあります。夏の日射しや、冬の風から家や人を守ってくれます。 木漏れ日、さわやかな風、風に揺れる木の葉の音に包まれた暮らしは格別です。防音効果もあります。 そして樹木越しに見る家は、心地よいものです。

◆ 八ケ岳南麓の自然に連続した庭造り 
−樹木−
八ケ岳南麓の自然に連続して、あなたの庭があります。
四季折々に花が咲き、色づく樹木。何をどのように植えようか? 既存の樹は何をどれだけ残すべきか?と悩んだら、まず、この地に自生する樹木を見てみましょう。できるだけ豊かな森を探して観察してみます。

森の中は、大きな高木樹(ナラ、ケヤキ、カシワ、アカマツ、トウヒなど)ばかりでなく、その下の中ぐらいの樹(ヤマボウシ、エゴノキ、アオハダ、リョウブ、ミズキなど)、そのまた下の低い木(ツツジ、ニシキギ、ソヨゴ、ダンコウバイなど)と、大きく分けて三層になっている事がわかります。 
あなたの庭に、このような自生種の高木、中木、低木の1セットを植えてください。みんなが植えれば30年後には南麓が多種多様な生物あふれる、豊かな森になります。 八ヶ岳に住む我々で、豊かな森を作っていきませんか?
もやしっ子のように細く伸びた赤松や唐松はかわいそうですが、伐ることをお勧めします。風で倒れて、家に被害を与える恐れがあるからです。

外来種の植栽は禁物です。最近のイングリッシュガーデン流行りでゴールデンアカシアが植木屋さんの人気樹種となっているようです。いつも若葉色で確かにきれいかもしれませんが、この繁殖力旺盛な外来種は八ケ岳の生態系を変えてしまうほどになることもあります。

008.png−草花−
樹木だけでなく、多年草の外来種も禁物です。

繁殖力の強い西洋タンポポが、日本タンポポを駆逐していることはよくご存じだと思います。 今、西洋オダマキは、日本のヤマオダマキと交雑して、浸食しています。 植物は、自分の庭の外に種が飛んだり、交雑により被害を拡げるため、自然のある八ヶ岳では外来種は禁物です。八ヶ岳には日本タンポポなど多くの日本の野草が残っています。 それを次の世代に残していくのは私たちの責任です。

参考:
・「特定外来生物」とは
  外来生物法に基づき、国外由来の外来種のうち、被害を及ぼすもの又は及ぼすおそれがあるものの中から、国が指定する。特定外来生物に指定されると飼育、栽培、保管又は運搬、輸入などが原則禁止される。
・「要注意外来生物」とは
  外来生物法に基づく飼養等の規制は課されないが、国外由来の外来種のうち、生態系に悪影響を及ぼしうる種について、利用に関わる者に対し適切な取扱いについての理解と協力をお願いするものとして、国が示したもの。

5 メンテナンス

メンテナンス

−年を経るごとに,素材の味わい深さが増す。そんな家を作りたい−

009.pngメンテナンスフリーという言葉をよく耳にします。そうした事を「売り」にしているハウスメーカーも多くあります。手入れ不要、そんな夢のような事が本当にあるのでしょうか?

そのような家を築5年後、10年後見に行くととても薄汚れて貧相な有り様になっている事の方が多いと思います。

010.png日本には「寂びる」という言葉があります。 風雪にさらされ年を経るごとにその素材の味わい深さが増す。 「朽ちる」のではなく「寂びていく」そんな家をつくりたいものです。

適確な設計と施工さえされていれば、自然素材で作った家がそうでない家に比べてメンテナンス性に劣るという事はないと思います。

木造住宅であれば、基礎、柱、梁そして防水の処理さえしっかりしていれば、それを覆う表皮としての屋根材や外壁材はある程度消耗材です。

011.png適切なメンテナンスがされ代々受け継がれていく家は100年でも200年でも活き続け、歴史が刻まれ、愛着がうまれます。

幸い、南麓には、伝統工法でつくられた古民家が数多くあります。 
自然素材で作られ、立替もせず、家の中の温度も安定している古民家は、ある意味最先端のエコロジカルな建物とも言えます。 これらの古民家から学ぶことを、お薦めします。